KBCで過ごす中で、子どもたちは様々な経験を重ね、毎日一歩ずつ成長。
「KBCものがたり」では、キッズコーチや保育士、栄養士たちが、キラキラ輝く子どもたちの成長の姿を記しています。
毎年冬休みに実施しているドッチビー大会。2年前に優勝したが昨年は負けてしまい、今年は、王者奪還を目指して望んだ。今年は高学年の子どもの参加が少ないので、いかに低学年の子を盛り上げるかが優勝への鍵となる。そこで白羽の矢が立ったのが2年生のれい君だ。
運動が得意で誰よりも体を動かす事が好きなれい君だが、自分の思い通りにならないとつい喧嘩をしてしまうところもあった。そんなれいくんがその気になったら優勝も見えてくるはず。
大会1週間前はドッチビー強化週間。毎日みんなで優勝目指して猛特訓。れい君もキャプテンとしての自覚が芽生えたのか、「外野に回して!」「すぐ返して!」と戦術をしっかりと指示している。みんなの士気も上がってきた。
ドッチビー大会を通して、私たちキッズコーチは、子どもたちにスポーツマンシップの大切さを伝えることを大きな目的としている。
相手チームや審判を尊重し思いやる事、独りよがりではなくチームワークが大切である事をあらゆるシーンで伝えているが、子どもたちはどうしても勝つ事に意識が向いてしまい、私たちのメッセージがきちんと伝わっているのかが心配だった。
大会当日は、気負い過ぎたせいか緊張モード。れい君もその空気に飲まれていた。
初戦は大敗し、負けムードがチームに流れたものの、プレーに参加していない子どもやキッズコーチたちも必死に応援し、その後なんとか立て直し決勝トーナメントへ駒を進めた。
決勝戦では、れい君が投げたディスクが相手に当たったように見えたが、審判の判定はセーフ。れいくんは、当てた相手を指さし何かを言おうとしたが、その腕をすっと下ろし、すぐにプレーに戻った。
その後、気持ちを切り替えた様子のれいくんは調子を上げ、どんどん相手を当てる。自分が当たってもすぐに当て返して内野へ戻る。試合中も大きな声でメンバーに指示をした。
周りのみんなも声が枯れるほど夢中で応援し、そして見事に優勝した。
ドッチビー大会は、技術が全てではない。
れい君がチームをまとめ、スポーツマンシップを身をもって示してくれたことが優勝に繋がったのだ。